2016年3月27日日曜日

Ansible でユーザのパスワード設定が簡単に行えるようになった

Ansible でユーザのパスワード設定が以前よりも簡単になっています。
対象のAnsibleのバージョンは1.9から利用できます。

コードは下記になります。
# 変数passwordに入っている値をsha512でハッシュ化
# ハッシュ化した値をユーザのパスワードとして設定する
# ログイン時は変数passwordに入っていた値を入力
user: name={{ user_name }} password={{ password |password_hash('sha512') }}
ユーザのパスワードは平文ではなく必ずハッシュ化した値が必要です。
以前はハッシュ化した値を設定するためにPythonのコードをタスク中に
実行して結果を利用したり、事前にハッシュ化するコードを実行して結果を
直接埋め込んだりするなど手間がかかっていたのですが
password_hash()で簡単に設定ができるようになったと思います。
# このコードはAnsibleのドキュメントに記載されている方法
# Ansibleインストールマシンにpython-passlibを事前にインストールが必要
python -c "from passlib.hash import sha512_crypt; import getpass; print sha512_crypt.encrypt(getpass.getpass())"
# python-passlibをインストールせずに生成する方法
# $1$はMD5ハッシュの印
python -c 'import crypt; print crypt.crypt("password", "$1$mysalt$")'
# vars_promptでencryptを利用する変数を定義して
# Ansibleインストールマシンにpython-passlibをインストールしていない場合
# ERROR: passlib must be installed to encrypt vars_prompt values
# というエラーメッセージが表示され失敗します
vars_prompt:
    - name: "password"
      prompt: "ユーザーパスワードを入力"
      private: yes
      encrypt: "sha512_crypt"
      confirm: yes
      salt_size: 8
複数ユーザのパスワード一括設定で、ユーザごとにパスワードを
別々のものにする必要があるときpassword_hash()の方法は使いやすいです。
sha512ハッシュにしているのはCentOS6がsha512を利用しているので。

参考
Ansible - How do I generate crypted passwords for the user module?
Ansible - Jinja2 filters / Hashing filters

Ansible の変数を操作して動的に変更する

Ansibleの変数で一部分だけを取得したり数値に変換して結果を
利用したいケースがあったので調べてみました。

ドキュメントを見るかぎりAnsibleはPythonで動作し変数はJinja2の
テンプレートシステムを利用しています。
変数を操作するときの文法はJinja2、Pythonにならい、
Jinja2に組み込まれているフィルタのほか、Ansibleに用意されている
フィルタなどを利用して変数の内容を動的に変更できるようです。

数字を数値に変換する


{{ value|int + 10 }}
valueが数字10のときは20になる

文字列の一部分を取得する

Pythonのスライス表記という方法を利用して実現していると思います。

{{ value[0:1] }}
valueが test のとき t になる

{{ value[0:2] }}
valueが test のとき te になる

{{ value[1:2] }}
valueが test のとき e になる

{{ value[1:] }}
valueが test のとき est になる
valueが foo1 のとき oo1 になる
valueが foo11 のとき oo11 になる

{{ value[:2] }}
valueが test のとき te になる

{{ hoge[3:]|int + 20 }}
valueが foo1 のとき 21 になる
valueが foo11 のとき 31 になる

指定する範囲の数値からランダムに値を取得する


{{ 59 |random }}
0~59の範囲でランダムに値が選ばれる

{{ 59 |random(step=15) }}
{{ [0,15,30,45] |random }}
0, 15, 30, 45のうち、どれか1つの値がランダムに選ばれる

cronの実行時間をランダムにしたいとき便利です。

ハッシュした値を取得する


{{ 'test' |hash('sha1') }}
sha1のハッシュ値になる

{{ 'password' |password_hash('sha512') }}
sha512のパスワードハッシュ値になる(ソルトはランダム)

{{ 'password' |password_hash('sha512', 'salt_value') }}
ソルトを指定する場合

password_hashはユーザのパスワードを設定するときに
利用できると思います。

他にもいろいろとフィルタがあるようですが、主に利用するケースを
挙げてみました。
バージョンによっては利用できないフィルタがあるので利用するときは
バージョンの確認が必要です。

今回確認したOS・バージョン
CentOS 6.7
ansible 1.9.2